こんにちは、yasuです。

最近、私が所属しているマーケティングリサーチ関連の業務設計だったり、キャリアについての議論が結構見られていて考えることが多いので、いろいろとまとめたいと思っています。

ちなみにこの記事はキャリアについての参考として考えてみてください。
「キャリアを考えるうえでどんなパターンがあるのか考えてみよう」(https://www.happy-carrer.com/blog/257

分業化していく会社と自身のキャリア

近年、調査業界においては調査業務の工程を分業化していく流れが強くなっています。

それはこのTweetの通りです。

調査業務の
・アンケート画面の作成業務
・アンケートデータのクリーニングを含めたローデータ作成
・定量調査のデータ集計業務
・定量調査のグラフ作成業務
・自由回答のコーディング業務
・定性調査の対象者リクルーティング業務
・発言録作成
・モデレーター業務

これらは社内で別部署が担っているか、子会社形態で地方(青森県や山口県)に移す、もしくは外注という形が多いです。グローバル調査だとインド(バンガロールあたり)が実査を担っていたと記憶しております。

こうした分業化がかなり進んできたのはインターネット調査が台頭してきたことがきっかけだと思っています。もちろん昔から分業はあったのですが、、、今ほどシステマティックにはなっていなかったです。


昔ながらの伝統的な調査会社は営業から最後の報告書作成まで「リサーチャー」という職務領域に含まれていたため、昔ながらの伝統的な調査会社出身の諸先輩方は各種業務を経験している方が多いようです。そのため、ジュニアのときは作業要員だったけど、年数とともにリサーチャーとしてのメイン業務を担わせてもらえるようになっていったそうです。

会場調査の原票を検票していくとか、パンチングとかそういうのをしていたようです。まあ、せいぜい数百くらいの原票なのでそこまで問題ではなかったのでしょう。

しかし、インターネットリサーチが主流になってくることによって、データがキレイに整備されたり、コストが安くなりスケジュールも短くなったことにより、案件数がかなり増えていったので、分業化して業務効率をより良くしていく必要がでてきたと私は考えています。

現在、大手のリサーチ会社は自社でアンケートパネルを構築しており、そこを収益源にすることで、リサーチ経験のほとんどない営業マンでも調査を売ることができるようにしたのです。分業化していることによってローデータ納品や集計まで納品という形が結構多いし、収益も高いのです。調査会社の多くはリサーチャーは時間単位で稼働管理をしており、リサーチャーが稼働するとそれがプロジェクト単位で原価に組み込まれる形式のため、リサーチャーをアサインした案件の方が粗利率が悪くなることが多いのです。

どちらがいいかというと、売上のことを考えるのであれば、分業を進めて売上を作る営業と売上を作れるリサーチャーにコア業務を担わせて、誰がやっても「結果は同じ」になるところはアルバイトでもできるようにしてしまう!という分業化がいいのでしょうね。

実際にやはり分業が完成している大手では1人あたりの売上が高いですね。下記のTweet参照。

表の元記事(http://www.jmra-net.or.jp/Portals/0/trend/investigation/gyoumujitai_46.pdf

で、これは会社や業界レベルでのマクロでの動向なのですが、もちろん分業化がすべて良いわけではなく、課題もあります。

配属ガチャの恐ろしさ

さてどんな課題があるのか?というと、それは配属ガチャです。分業化が進んでいるということは、ジョブローテーションでもない限り、自分のスキルや経験の幅が広がらないケースがあるのです。

例えば、定量調査のインターネットアンケートの回答画面を作成する部署に配属されたとすると、ひたすらリサーチャーが作成した調査票(Excelなど)をウェブ画面に落としていくという作業をしていくのです。多くの調査会社では独自のシステムでアンケート画面を作成しているため、アンケート画面を作れる=コーディングができる!という風にはならないのです。その部署にいる人は賽の河原で石積みをしているような気分という人もいるくらいです。

つまり、その会社でしか通用しないスキルと経験が蓄積されていくのです。しかも最近は調査結果を早く欲しいというクライアントも多いため、画面作成期間が短縮されがちですし、画面のロジックミスをするとデータがおかしくなるのでミスも許されない。またそれだけハードであれば残業代がたくさんでるんじゃないか?と思うかもしれませんが、昨今の働き方改革で残業もコントロールされる傾向があるため、それほどお金ももらえません。

また、画面作成部隊の年収もそもそも低いです。そして、離職率も高いです。

他にも定性調査の対象者をリクルーティングする部門に配属された人も同様の状態です。

で、別にアルバイトやパート的な感じで働くという意味では全然問題ないのかもしれませんが、キャリアアップしていこう!年収を上げていこう!という場合ではそれほど付加価値の高い業務ではないと判断されてしまいがちなので、社内でもそこまで年収が高くなるわけでもなく、転職市場でもなかなか評価されないのです。実際に私の周りにも、運用部隊(画面作成やリクルーティングなど)に配属されたが、キャリアや年収について悩んでいるという話はいまだに耳にします。

また、分業化が進んだ調査会社のリサーチャーでは、集計を自分でしたこともなければ、グラフも社内の専用ツールでしか作成したことがない人もいるのです。多変量解析も自分で回したことがないので、SPSSも使えません。グラフもExcelやパワポで作ることもできないのです。

自分のキャリアを見つめてみよう

さて、ここまで書いたうえで私は分業化が悪いと言いたいわけではないのですが、会社の進める分業化が自分のキャリア形成に最適であるかは別問題であるということは認識した方が良いです。

そこで頑張ることで自分の人生はより豊かになるのか?という観点は持っておいた方がいいと思います。会社があなたのキャリアステップをきちんと考えてくれるとは限らないのです。

これは調査業界に限らず、どの業界でも会社でも分業化は進んでいくと思います。というのも、ジョブ型雇用の浸透や働き方改革圧の高まりで業務効率化と生産性の向上はより求められると思います。

しかしながら、先にも書いたように会社が考える方向性と自身の達成したいキャリアはしっかりと分けて考えるべきなのです。自分のキャリアはきちんと自分で考えていく必要があるでしょうね。

ほな

さよなら三角また来て四角

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